2024年3月8日 (金)

 

約3年かけて執筆した書籍がこの度,刊行されました。

 

 

保田幸子 (2024) 『「書く力」の発達:第二言語習得論と第二言語ライティング論の融合に向けて』くろしお出版

 

 

この書籍は,「科研費研究成果公開促進費 (学術図書)課題番号 23HP5049」の助成を受けて刊行が実現したものです。 

 

 

研究者仲間のM先生がXで素敵なコメントを書いてくださり,割と反響が大きかったようで,いろんな方から「バズってましたよ」と言っていただきました。 Xは自分では使ってないのですが,フォロアー数の多い方が発した言葉ってすごいインパクトがあるんですね。 

 

 

これから第二言語ライティング研究を始めようと考えている学生の皆さん,これから教壇に立ち,英語授業の中でライティング活動を取り入れようとされている新任の先生方にも十分理解できるような文章を心がけました。 手に取っていただければ嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

2024年3月6日 (水)

 

岡山大学にて,大学英語カリキュラムデザインに関する講演を行いました。

 

岡山大学教学企画室主催 大学教育リデザイン研究会

 

大学英語カリキュラムデザイン:自律的な学びを継続させるために必要な要素とは

 

 

前所属先の九州大学で,比較的大規模な大学英語カリキュラム改革に携わったのですが,その時の経験を是非ともお話していただけないかというご依頼をいただき,実現した講演会になります。

 

 

「カリキュラム」という概念は,広義には「人の学習経験の総体」を指します。そして,より詳細な教育課程の編成や実施の方針をまとめたものを「カリキュラムポリシー」と呼びます。

 

 

しかし,現実のカリキュラムは,単一的・単線的な枠組みでは捉えられない多層的・複層的な側面を持ちます。 例えば,国際教育到達度評価学会 (International Evaluation Association, IEA) では,カリキュラムを「意図したカリキュラム (intended curriculum)」「実施したカリキュラム (implemented curriculum)」「達成したカリキュラム (attained curriculum)」の3層に整理しています。 学習者の「経験」や「学び」に着目し,特定の意図を持って展開されるカリキュラムが,必ずしも意図していた通りには経験されないことがあるということを示唆する考え方です。 

 

 

今回の講演もそうですが,カリキュラム改革についての話を「カリキュラムを作った人(教員)」が話をする時,その内容は1つ目と2つ目の「意図したカリキュラム」と「実施したカリキュラム」が中心になると思います。 3つ目の「達成したカリキュラム」は,学習者が経験したカリキュラムであり,それは「意図されなかったカリキュラム (unintended curriculum)」を含んでいるかもしれません。  新しいカリキュラムを学習者一人ひとりがどのように解釈し,どのように学びに繋げていったのかということは,個人的な主観を経た個々人の固有の経験であり,これはこれで別の次元でのリサーチ(個々人の学びに着目した質的研究)が必要になっていくのだろうと思います。

 

 

当日使用したスライドはこちらからダウンロード可能です(参加者の中に英語母語話者の先生がおられたため日本語・英語の二言語で作成しています)。 よろしければご覧ください。

 

 

岡山大学では,以前一緒に仕事をしたことのある先生方に再会することができ,とても素敵な時間を過ごすことができました。  みなさんお元気そうで,その笑顔から元気をいただきました。 岡山大学は新幹線の駅も近く,市街地に,こんなに広大で美しいキャンパスを持つ総合大学は他にないのではないでしょうか。 広大なキャンパスに11の学部があり,理系から文系まで多様なバックグラウンドを持つ学生さん14,000人ほどが共にこの場所で学んでいるそうです。  学ぶ環境が美しく,そして便利であることは大事ですね。