昨年度に引き続き,神戸大学付属図書館主催「学術英語スキルアップセミナー」にて,「研究者のための英語論文の書き方」を担当させていただくことになりました.
今回も,大和知史先生(発音習得がご専門)とご一緒させていただきます.大和先生は,「英語プレゼン」に焦点を当てたご講演をされます.
昨年は,学内の先生方や大学院生の方々など90名近くの方々がご参加くださいました.
今回も,皆様にとって有益な内容になるよう頑張ります.
よろしくお願いいたします.
下記の論文が,カナダのジャーナル "TESL Ontario"に掲載されました.
Yasuda, S. (2018). Learning-to-write and writing-to-learn in a foreign language. TESL Ontario Contact, November 2018, pp. 44-51.
2017年にTESOL Quarterlyに刊行した下記の論文 Yasuda (2017)を,現場の先生方向けに書き直したものです.
Yasuda, S. (2017). Towards a framework for linking linguistic knowledge and writing expertise: The interplay between SFL-based genre pedagogy and task-based language teaching. TESOL Quarterly, 51, 576-606.
カナダ在住の研究者,カナダの高等教育の現場の先生方から問い合わせをいただき,こうした論文の依頼を受けるようになりました.
一研究者として,研究の成果を,新しい教育やカリキュラム開発につなげていくことが自分の使命だと考えています.国内だけではなく,諸外国からこのような依頼が来ることは,やはりとても嬉しいことです.
これからも努力していきます.
第4回 第二言語ライティング研究会が群馬大学荒牧キャンパスで開催されました.
今回は,藤枝豊先生(共愛学園前橋国際大学)とともに,講演者として登壇させていただき,「意味を重視したライティング複雑性の指標 ー結束性と対人的談話標識に注目してー」というタイトルで,お話させていただきました.
ライティングの発達指標として,言語運用能力に着目したvariablesがよく使われます.それは,例えば,流暢性(例:word tokens),複雑性(例:syntactic complexity, lexical complexity),正確性 (例:error-free T-units) などを含みます. これらがライティング全体の評価にどの程度寄与するのか,どの要素がライティング能力を予測するのか,といった問いは,現在でも多くの応用言語学者の研究対象となっています.
しかしながら,ライティングという行為は,言語の流暢性や複雑性,正確性だけでは十分に説明ができない,非常に複雑な認知的・社会的な行為であり,過度に「形式」のみに着目することで,書き手がある文脈の中で読み手に向けてどのように意味を伝えようとしているか(=interpersonal meanings),読み手をどのように導こうとしているか(=textual meanings)といった書き手独自の「意味形成プロセス」を見落としてしまう可能性があるのではないでしょうか.
今回はこうした観点から,ライティングという行為を「書き手が読み手に向けて意味を伝えるプロセス」と定義づけた上で,書き手が文章を通して作り出すinterpersonal meanings (e.g., Affect, Judgment, Appreciation)とtextual meanings (e.g., Five types of cohesion devices) に着目したアプローチについてお話させていただきました.
90分の講演用に新たにスライドを作り直しましたが,一週間前はバラバラで一貫性のなかったアイデアが,スライドを作り直す過程で,一本の線で少しずつ繋がっていくという経験をしました. 「聞き手が分かるように説明しようとすること」,「聞き手の立場になってじっくり考えてみること」は,やはりとても大事なことなのだなと再確認しました.
ライティング研究会は,これまで関西をベースとして活動していましたが,今回は初めての関東圏での開催となりました. 開催にあたりご尽力くださった飯田敦史先生(群馬大学),本当にありがとうございました.
昨年に続き,今年も福井大学の医学部の先生方・大学院生を対象としたワークショップを担当させていただきました.
昨年は,英語学術論文の書き方を扱いましたが,今年は,アカデミック・プレゼンテーションについてです.
今回は,書いた原稿を,聞き手が耳で聞いて分かるようにどうプレゼンするかというトピックで,講義と実践演習を組み合わせ,次の二点に焦点を当てて進めました.
原稿をそのまま読み上げることはよくある形式かと思いますが,書き言葉の論文英語を,プレゼンでそのまま使える訳ではありません. 「見て読んで分かるプロセス」と「耳で聞いて分かるプロセス」は異なるからです.
本日は,プレゼン英語の文体と音声に焦点を当ててお話をさせていただきました.今日の内容がご参加くださった皆様の将来の研究発表で少しでも役に立てば嬉しく思います.
カナダ・バンクーバーまで学会出張でした.
Simon Fraser University で開催されるSymposium on Second Language Writing (SSLW)に出席,現在取り組んでいるプロジェクトの中間発表をしてきました.
Yasuda, S. (2018). Writing development in CLIL in a Japanese primary school: How young learners write in a foreign language. The 17th Symposium on Second Language Writing (SSLW). Simon Fraser University, Vancouver, Canada, August 2, 2018.
新たな学びや気づきがあり,反省点があり,次はこうしたいという方向性の確認があり,思っていた以上の収穫のあった学会出張となりました.
そして,バンクーバーの夏は過ごしやすく,素晴らしく快適でした. 海と山に囲まれたカナダらしい雄大な景色,美味しいサーモン,一緒に時間を過ごしてくれた人々の存在も,今回の出張の価値を高めてくれました.
今年1月に立ち上げた第二言語ライティング研究会ですが,本日,第3回目の研究会を無事に終えることができました.
今回は,広瀬恵子先生(愛知県立大学)と栗原典子先生(岡山大学)をお招きし,EFLライティング能力の発達指標,ピア・フィードバックの効果について,それぞれお話していただきました.
広瀬恵子先生からは,あるテキストが「流暢性が高い」,また「複雑性が高い」という時に,それが具体的に何を指しているのかについて,複数の言語指標に焦点を当てた定量的分析に基づく成果についての報告がありました.
栗原典子先生からは,ピア・フィードバック活動を高校生がどのように捉えているか,クラスメイトからのフィードバックを実際にどのように修正に反映させたか(また反映させなかったか)について,定量的・定性的両方のアプローチに基づく結果報告がありました.
どちらもライティング授業実践と評価に大きく関わるテーマで,参加者の方々を交えたディスカッションも,いつも以上に有意義なものになりました.
大学院生の時,広瀬恵子先生の論文に出会い,第二言語ライティング研究という領域があることを知りました.あの頃遠い存在だった広瀬恵子先生と,こうして直接お話させていただく機会が持てるようになったことに,改めて感慨深い気持ちになりました.また,今,自分がこうして研究ができているのは,広瀬先生はじめ諸先輩方が築いてくださったリサーチのフィールドがあるからこそで,そのことに感謝する気持ちを常に忘れてはいけないという気持ちになりました.
日本経済政策学会 第75回全国大会にて,英語論文の書き方についての講演を担当させていただきました(於:同志社大学).
学術論文というジャンル,その難しさを引き起こしている要因という概念的なお話からスタートし,後半は「分野別ESPコーパス」に焦点を当て,実際にConcordancerを用いた実践を行いながら,分野別ESPコーパスの英語論文学習ツールとしての可能性についてお話をさせていただきました.
参加してくださった先生方は経済学がご専門なので,最初は「コーパス」という言葉自体になじみがなかったようですが,ESPコーパスの構築の仕方や,Concordancerのキーワード検索を実際に見ていただいたことで,「これから論文を書く際に,自分でもESPコーパスを作ってみたい」,「院生の論文指導はこれまで我流でやっていたが,これからは,コーパスを使って学生に自主的に学んでもらう手法を取り入れたい」といった声をいただくことができました.
後半のパネルディスカッションでは,「コーパスを作る際のコツや注意点は何かあるでしょうか?」「コーパスを使った学習で冠詞を習得することはできるでしょうか?」など,コーパスに関する質問をたくさんしていただき,先生方のESPコーパスに関する関心度の高さがうかがえました.中には「機械翻訳は使ってよいのでしょうか?」といった質問もあり,少し困ってしまったのですが(笑),フリーなディスカッションを通して,普段感じている素朴な疑問や悩みを皆で共有し,新しい視点を得ていただく機会となったのではないかなと思います.
今回の講演にあたり,経済学の先生方がよく読まれているというJournal of Political Economyにアクセスし,領域特有の言語的特徴や修辞技法を学ぶべく,自分でジャンル分析をしてみました.その結果,やはり経済学特有の書き方や好まれる表現や修辞技法があることが分かりました.普段は,自然科学系の研究者の方々を対象としたワークショップを担当することが多いので,今回の講演とそれを通して得た学びは自分にとって大きな財産となりました.
このような機会を与えてくださった日本経済政策学会の先生方に改めて御礼申し上げます.ありがとうございました.
それにしても,同志社大学のキャンパスの美しさには圧倒されました.明日,鶴甲キャンパスに行ったら悲しくなりそうです... ; ;
大阪市立大学にて,英語論文執筆セミナーの講師を担当させていただきました.
これまでは,自然科学系の若手研究者の方を対象としたセミナーを担当させていただくことが多かったのですが,今回は,文学研究科が主催とのことで,ご参加くださる方々のご専門が人文系であることが想定されたため,内容を人文系に切り替えた上で,教材やスライドの準備を進めました.
今回は,4時間という枠を与えていただき,大変幸運でした.いつも欲張って盛りだくさんな内容にしてしまうので,最後はドタバタになってしまうことが多いのですが(泣),今回は,比較的ゆっくりとしたペースで丁寧に解説できたように思います. また,個人ワークやペアワークにも時間を取ることができたのも有り難かったです. 当初は,長時間のセミナーは,参加者の方々の集中力が持たないのではないかな...と少し心配していたのですが,皆さんのご反応やいただいたフィードバックから,この内容だと4時間くらいの尺がちょうどいいかもしれないと思いました.
最後の質疑応答では,英語の学習法やGoogle翻訳の使い方,スタンダードイングリッシュとは何か...といった幅広い観点からの質問やコメントをいただき,有意義なディスカッションでセミナーを終えることができたと思います.
今回のセミナーでも,また素敵な先生方や大学院生の方々と知り合うことができました.講師を担当しつつ,私自身がいつも学ばせていただいています.
ご参加くださった先生方,院生の方々,ありがとうございました.
神戸大学付属図書館主催,学術英語スキルアップセミナーの講師を担当させていただきました.
「英語の『論文』〜押さえておきたい書き方の基本〜」というタイトルで,お話させていただきました.
今日は,神戸大学の若手研究者,大学院生や学部生も含めて80名ほどの参加があったようです.
講演とワークショップの内容が,参加者のみなさまにとって新しい学びにつながったこと,今後の執筆活動への動機付けにつながったのであれば,うれしく思います.
お忙しい中,ご参加くださった先生方,学生のみなさま,ありがとうございました.
本学で2017年度からスタートした英語特別クラス ACEプログラムの履修学生が自ら企画・運営するACE Student Conference「学生会議」が行われました.
学生の素晴らしいポスターセッションとオーラルプレゼンテーションの後,基調講演を担当させていただきました.
基調講演のタイトルは,"Beyond Borders: What It Means to be a Global Citizen".
今や"buzzword"となっている「グルーバル市民」や「グローバル人材」.でも「グローバル市民」って一体どういう人のことを指すのか,なぜ「グローバル人材」になることが今重要なのか,ということを改めて考えてもらうことをねらいとして,お話させていただきました.
「同じものを見ても,文化背景が異なると違って見える」ということを,様々なエクササイズを交えながら進めていきました.本当は,もう少しドッと笑いが起きることを期待していたのですが,そこそこな感じでした(笑).
いずれにしても,学生が主体となって企画・運営した今回のACE学生会議は,第一回目にも関わらず,大盛況そして大成功で終わったと思います.イベントの裏方の仕事は本当に大変なことばかりですが,そのようなことを少しも顔に出さず,終始笑顔で仕事をしていた学生たちの姿に感銘を受けました. このような素晴らしいイベントに,基調講演という形で関わらせていただいたことは,本当に幸運でした. ありがとうございました.
第二言語ライティング研究会を立ち上げることになり,本日は,第一回のKick-Off Meetingが開催されました.
第一部で,「第二言語ライティング研究とは何か ーパラダイムシフトと近年の動向ー」というタイトルで90分間の講演を担当させていただきました.
応用言語学における第二言語ライティング研究の位置づけ,1960年代からこの領域がどのように発展してきたかについての歴史的経緯,SLAとの関係,言語能力とライティング能力の発達の関係性,複雑性の測定,研究成果のライティング指導への応用等について,お話させていただきました.
国内には,第二言語ライティング研究に特化した研究会や団体が(知る限り)まだ存在していないため,全国に点在しているライティング研究者が一同に介し,研究成果や指導法を共有することで,国内における第二言語ライティング研究・指導をより成熟させていければという思いから立ち上げた研究会です.
本日のミーティングは,20名の先生方がご参加くださいました.講演後のディスカッションを通して,新たな気づきがあったり,これまでばらばらだったものが一本の線でつながる瞬間があったりしました.大変実り多い有意義な時間になりました.ご参加くださった先生方にとっても,有益な時間になったのであれば嬉しく思います.
なんでも「続けること」が大事だと思っているし,そうしなければ前進しないので,今後も,年に2〜3回のペースで研究会を開催していきます.
次回は,3月10日(土)に第2回を開催する予定です.
当日の講演スライドはこちらで閲覧可能です.
第二言語ライティング研究会を立ち上げることになりました.
1970年代,北米のComposition Studiesから始まったと言われる第二言語ライティング研究.その後,Contrastive Rhetoric ⇒ Process Writing ⇒ Writing as a Social Practice と,いくつかのパラダイム・シフトを経て,北米を中心に発展を遂げてきています.
近年は,心理学や教育学,社会学など他領域で発展した理論を応用し,様々な観点からライティング研究が行われてきています.ライティング研究も,"Epistemological Diversity"の影響を大きく受けています.
しかしながら,諸外国で発信されている研究成果がすべて日本のEFL環境に応用可能かどうかは定かではありません.日本の教育環境の固有性と独自性に目を向け,日本から,外国語ライティングの研究成果を発信していくことが必要ではないかと考えるようになりました.
第二言語ライティング研究会は,このようなミッションを実現していくことを目指します.
第一回キックオフミーティングを2018年1月27日(土),神戸大学・梅田インテリジェントラボラトリで開催します.
ライティング研究とライティング指導にご関心のある先生方,院生の方々,ぜひご参加ください.
あけましておめでとうございます.
今年は,オーストラリア・メルボルンで新年を迎えました.
2002年から2004年まで,大学院留学していた場所.
研究者としての基礎と土台を構築した場所,自分にとってはとても大きな意味を持っている場所です.
シティを始め,South Bank, St. Kilda, Melbourne Park, Mornington Peninsula, Sorrento...など,懐かしい場所を訪れ,当時の思い出に浸りつつ,これから始まる一年も,当時の初心を忘れず,こつこつと努力して一年後に少しでも大きな成果を出したいと思いました.
本年もどうぞよろしくお願い致します.
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